トップ  >  テーパー理論  >  弾性率の測定及び弾性率による竹種別テーパー変換方法の考察

弾性率の測定及び弾性率による竹種別テーパー変換方法の考察


 真竹はトンキンのライン1番手上のテーパー、と言われたりするなど竹の種類によって単位重量も曲がりにくさも違うため、 同じテーパーでは同じアクションに成りません。そこで、竹の種類に応じてなんとか同じアクションのテーパーを理論的に導き出せないかと思い、 考察してみました。

・弾性率について
 物は何でも力を加えられると変化しますが、そのときの「力」とそれにより発生した「ひずみ」との比を弾性率 といいます。式は

弾性率=力/ひずみ

です。ひずみが大きいと小さくなり、小さいと大きくなります。つまり、「ひずみにくさ」「曲がりにくさ」を示す値ですね。 これを使えば、違う種類の竹で同じアクションを維持したテーパーに変換する方式を導き出せるかも、ということに気が付き 今回、実験してみました。

・ヤング率
 この弾性率には数種類ありますが、その中で測定のしやすさ等からヤング率と呼ばれる弾性率に着目しました。 これは「曲げ剛性」「たわみ剛性」とも呼ばれるようです。式は、かかる力をF、測定物の断面積をS、 測定物の長さをX、その伸びを△Xとすると

ヤング率E=(F/S)/(△X/X)

です。つまり、単位面積当たりの力/単位長さでの伸び です。これは、測定物固有の値で、その物の大きさや長さには 影響されません。

・ヤング率による竹種別のテーパー変換式の考察
 さて、ロッド同士が同じアクションであるということは、同じ力が掛かったときのひずみが同じ、と言えますね。 つまり、両ロッドについて上記ヤング率の式の F及び△X/X は同じ値だと言えます。ということは、 トンキンのヤング率をEt、断面積をSt、真竹のヤング率をEm、断面積をSm とすると

Et=(F/St)/(△X/X)
Em=(F/Sm)/(△X/X)

であり、それぞれを変換すると

Et・St=F/(△X/X)
Em・Sm=F/(△X/X)

となりますね。したがって両式より

Et・St=Em・Sm

故に

Em/Et=St/Sm ・・・(1)

の式が得られます。ここで、トンキンの対面幅をDt、真竹の対面幅をDm とすると断面積は対面幅の二乗に比例するため

St/Sm=(Dt/Dm)^2 (^2は二乗と言う意味)

となります。したがって、(1)式は

Em/Et=(Dt/Dm)^2

故に

Dm=(Et/Em)^1/2 ・Dt ・・・(2)
(^1/2は平方根と言う意味)

となりこの式から、トンキンと真竹のヤング率が解れば、同じアクションでトンキンの対面幅を真竹の対面幅に変換出来ると思われます。

・ヤング率の測定
 次に、実際にヤング率を測定してみます。ヤング率の測定方法に、ユーイングの装置によるものがあります。実際の装置はかなり 大がかりのものの様ですが原理的には単純で、支点間に測定する棒(立方体)を横たえさせて、その中央に錘をぶら下げたときに どれだけ中心部分が曲がるか(下がるか)、を測定するようです。簡単に書くと


の様な感じで、元の位置からどれだけ下がったかという、中点降下を測定すればヤング率が得られるのです。 ということは、それほど厳密さを求めなければある程度簡単に測定できますね。私は、ラッピングベンチに 各竹を割った状態の物(ほぼ立方体)を横たわせて、中心に釣りの錘をぶら下げて測定してみました。


こんな感じで測定
(後ろの旋盤は測定には関係ありません(^^;))

ちなみに、この場合の支点間距離は測定物が曲がると支板(?)の内側でささえるので、板の内側の距離にしました。
測定結果からヤング率Eを求める式は、測定する竹の厚さをA[m]、幅をB[m]、支点間の距離をL[m]、錘の重さをM[Kg]、 中点降下をX[m]、重力加速度をg[=9.8m/s^2]とすると

E= (L^3 ・ M ・ g)/(4 ・ A^3 ・ B ・ X) [N/m^2]

です。 測定結果は、次の通りです。

トンキンと真竹のヤング率測定

  厚さ[mm] 幅[mm] 無負荷時[cm] 負荷時[cm] 中点降下[cm] ヤング率[N/m^2]
トンキン 5.0 6.0 12.5 10.2 2.3 1.38852263 X 10^10
真竹 4.5 6.5 12.5 9.2 3.3 1.22539816 X 10^10
支点間:48cm
錘:884g(60号4個+ゼムクリップ)
竹のエナメル面を上(一番固い状態)にして測定

この測定結果から(2)式を用いて、トンキンのテーパーを真竹のテーパーに同じアクションで変換すると

Dm= 1.064480889913 ・ Dt

となります。つまり、各位置の対面幅を約6.4%増加してやれば良いということになります。 これと、バンブーモーメントの実重量での計算を用いればトンキンから真竹へのある程度正確なテーパー変換が可能に なると思われます。
また、その他の種類の竹のヤング率と単位重量を測定すれば、この理論を利用して色々な種類の竹相互でのテーパー変換が 可能になるでしょう。

果たして、本当にこれで良いのかどうかは現在実験中です。良い結果が得られれば、次のバージョンのTakeRod に竹種変換機能を搭載しようと思ってます。しばし、お待ち下さい。

※その後、実際に真竹で上記計算のもと作製し実釣してみましたが、ほぼ完璧にアクションが再現されました。理論的には 間違いなさそうです。TakeRod Ver2.10に竹種変換機能持たせましたので、お試しください!

なお、ヤング率の測定ではないのですが同様の方法で、竹の対面幅毎(通常のストリップで三角柱状態)に錘を増加していった場合 曲がりがどう変化するかも測定してみました。もしかしたら、真竹は表面に硬い部分が集中していて薄くしたらトンキンより硬く なる可能性もあるかと思ったのですが、測定結果からは特にそういう状況は確認出来ませんでした。ディプスが1.5mmの時のみ曲がりが 近い様な気もしますが、曲がりきってしまっているためだと思われます。よって、弾性率や単位重量からみても トンキンより全体的に柔らかいというのが、今のところの結論です。参考までに測定結果を下記にお知らせします。

対面幅毎の曲がり測定
ディプス[mm] 錘[g] トンキン 真竹
測定値[cm] 中点降下[cm] 測定値[cm] 中点降下[cm]
4.0 0.0 11.8 0.0 12.8 0.0
8.2 11.6 0.2 12.4 0.4
16.4 11.5 0.3 12.1 0.7
24.6 11.3 0.5 12.0 0.8
32.8 11.1 0.7 11.5 1.3
41.0 10.9 0.9 11.3 1.5
3.5 0.0 11.9 0.0 12.7 0.0
8.2 11.5 0.4 12.0 0.7
16.4 11.2 0.7 11.5 1.2
24.6 10.9 1.0 11.2 1.5
32.8 10.6 1.3 10.7 2.0
41.0 10.4 1.5 10.4 2.3
3.0 0.0 11.8 0.0 12.8 0.0
8.2 11.3 0.5 12.1 0.7
16.4 10.8 1.0 11.3 1.5
24.6 10.3 1.5 10.6 2.2
32.8 9.8 2.0 10.0 2.8
41.0 9.4 2.4 9.6 3.2
2.5 0.0 11.8 0.0 12.6 0.0
8.2 10.8 1.0 10.8 1.8
16.4 9.8 2.0 9.5 3.1
24.6 8.9 2.9 8.7 3.9
32.8 8.0 3.8 7.5 5.1
41.0 7.0 4.8 6.5 6.1
2.0 0.0 11.7 0.0 12.5 0.0
8.2 9.6 2.1 9.3 3.2
16.4 7.5 4.2 7.0 5.5
24.6 5.7 6.0 - -
32.8 - - - -
41.0 - - - -
1.5 0.0 11.6 0.0 12.7 0.0
8.2 5.9 5.7 6.6 6.1
16.4 - - - -
24.6 - - - -
32.8 - - - -
41.0 - - - -
支点間:60cm
錘:8.2g/個(2号錘)を5個1つずつ増やしながら測定
通常のストリップ(三角柱)でエナメルを上にして測定
- は測定不能の意味

プリンタ用画面
友達に伝える
前
真竹の竹単位重量測定
カテゴリートップ
テーパー理論